第44回 知的財産管理技能検定 1級 実技試験 特許専門業務の回答と検討

私は知的財産管理技能検定の1級に挑戦しようと考えておりますが、現状、適当な参考書、テキストがありません。

過去問の回答は解説が無いだけでなく、記述の回答例もありません。

そこで、自分で回答し、正誤チェックして、どうしてそのような回答になるか検討しようと思います。また、記述の模範解答も検討します。

ほぼ備忘録ですが、誰かの参考になれば幸いです。尚、弁理士等ではないので間違ったことも言っている可能性が多々あるので、間違いがあればコメント頂けると幸いです。

「←」のあとのコメントは、回答とは別で自分のコメントです。

ちなみに知的財産管理技能検定の受験料は

学科試験 8,900円(非課税) / 実技試験 23,000円(非課税)

でかなり高いです。そのため、不合格にはなりたくないですね。

さてでは、「第44回 知的財産管理技能検定 1級 実技試験」の問題です。

【PartⅠ】
中小企業である文房具メーカーX社は,ボールペンの形状に関する発明Aに係る特許出願Pを出願した。問1~問2に答えなさい。

<問1>
発明Aについて出願公開がされた後,Y社が発明Aを使用したボールペンBの製造販売を開始したことをX社は知った。X社の知的財産部の部員甲の考え(1)~(3)について,(イ)内
在する課題(問題点)があるかないか,(ロ)その理由を検討しなさい。


(1) X社は発明Aを実施しておらず,また実施の予定もないが,Y社のボールペンBの実施を理由として,特許庁に対して早期審査の申請を行って,特許出願Pの早期権利化を目指すこととした。

私の回答:問題点あり。自社の実施あるいは実施予定がないと早期審査が認められない。

正解:問題なし。

早期審査は以下がOK。本件は中小企業だからOK。

①中小企業、個人、大学、公的研究機関等の出願
外国関連出願
③実施関連出願
グリーン関連出願
震災復興支援関連出願
⑥アジア拠点化推進法関連出願


(2) X社は,特許出願Pに係る発明Aの内容を記載した書面を提示して,Y社に対して警告を行った。その後の特許出願Pの審査手続において,特許請求の範囲の記載内容について補正があった場合,その補正後の内容を記載した書面を再度提示してY社に警告を行わないと,補償金請求権が認められる場合はない。

私の回答:問題点なし。

正解:問題点あり。

明確に、上記について説明する文章はなかったが、おそらく警告後の補正について、再度警告は不要。ただし、警告前に補正した場合は、補正した内容で警告する必要がある。


(3) X社が補償金請求権を行使できるのは,Y社が発明Aを実施したことを,X社が知った日から3年以内である。

私の回答:問題点あり。補償金請求権を行使できるのは、特許が登録されてから3年である。あくまで実施料相当額の補償金。

正解:問題点あり。

補償金請求権を行使できる期間は、特許権の設定登録後3年間。

<問2>
その後,特許出願Pは,登録された。X社は,特許出願Pに係る特許権を侵害しているZ社に対して,損害の賠償を請求する訴訟を提起することを検討している。甲の考え(1)~(3)に
ついて,(イ)内在する課題(問題点)があるかないか,(ロ)その理由を検討しなさい。


(1) X社がZ社に対してその侵害によりX社が受けた損害の賠償を請求する場合において,Z社がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは,X社がZ社の侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額に,Z社が譲渡した物の数量のうちX社の実施能力に応じた数量を超えない部分を乗じて得た額を,X社の損害額とすることができるが,X社の実施能力を超える部分についてはX社の損害額の算定の対象とすることはできない。

私の回答:問題点あり。X社の実施能力を超える部分についてもX社の損害額の算定の対象とすることができる。

正解:問題点あり。


(2) X社がZ社に対してその侵害によりX社が受けた損害の賠償を請求する場合において,X社が発明Aを実施していないときは,Z社が侵害の行為により利益を受けていたとしても,そのZ社の利益の額が,X社が受けた損害の額であるとする推定規定の適用を受けることができる場合はない。

私の回答:問題点なし。

正解:問題点あり。

特許法102条の二の3によると「特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。」とのことで、おそらく専用実施権者が実施している場合に上記適用を受けることができる


(3) X社は,Z社に対して実施料相当額の金銭を,自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができるが,裁判所はこの金銭の額に相当する額を認定するにあたってX社に係る発明Aの実施の対価について,特許出願Pに係る特許権の侵害があったことを前提としてその対価を考慮してはならない

私の回答:問題なし。←正直、文章が理解しにくい。X社が自社で実施しているものについてのロイヤリティーをZ社に請求するという意味?

正解:問題点あり。

特許法102条の二の4*を参考にすると、模範解答は次の通り。正直分かりにくいですね。

裁判所はこの金銭の額に相当する額を認定するにあたってX社に係る発明Aの実施の対価について,特許出願Pに係る特許権の侵害があったことを前提としてZ社との間で合意をするとしたならば、X社が得ることとなるその対価を考慮することができる。

*「裁判所は、第一項第二号及び前項に規定する特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては特許権者又は専用実施権者が、自己の特許権又は専用実施権に係る特許発明の実施の対価について当該特許権又は専用実施権の侵害があつたことを前提として当該特許権又は専用実施権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該特許権者又は専用実施権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。

【PartⅡ】
医療機器メーカーX社は,データ管理システムA,体重計B及び体重計Cを新たに開発した。
データ管理システムAは,遠隔地で入力された患者の診察データを解析することができるものである。体重計Bは,筐体の強度を高めることが可能な筐体外部の形状Dを特徴としている。体重計Cは,筐体内部の部品点数を減らすことが可能な筐体内部の構造Eを特徴としている。X社の知的財産部の部員甲は,データ管理システムA,体重計B及び体重計Cの保護について検討している。問3~問5に答えなさい。

<問3>
甲は,データ管理システムA,体重計B及び体重計Cについて実用新案登録出願を行うことを検討している。甲は,データ管理システムA,体重計B及び体重計Cについて下記の実用新案登録請求の範囲を考えている。

各請求項に関する甲の考え(1)~(3)について,(イ)内在する課題(問題点)があるかないか,(ロ)その理由を検討しなさい。
【請求項1】
患者の診察データを入力する入力装置と,
入力された前記診察データを格納する記憶装置と,
通信回線を通して前記記憶装置にアクセスして前記診察データを受信するデータ処理端末と,
を備え,
前記データ処理端末は,受信した前記診察データを解析する解析装置と,前記解析装置の解析結果を表示する表示装置とを有することを特徴とするデータ管理システム。
【請求項2】
入力装置で患者の診察データの入力を受け付ける入力ステップと,入力された前記診察データを記憶装置に格納する格納ステップと,通信回線を通してデータ処理端末から前記記憶装置にアクセスして前記データ処理端末が前記診察データを受信する受信ステップと,受信した前記診察データを前記データ処理端末が解析する解析ステップと,前記データ処理端末の解析結果を表示装置に表示させる表示ステップと,を備えることを特徴とするデータ処理方法。
【請求項3】
診察データが格納された記憶装置に対して,通信回線を通してデータ処理端末からアクセスして前記データ処理端末が前記診察データを受信する受信ステップと,受信した前記診察データを前記データ処理端末が解析する解析ステップと,前記データ処理端末の解析結果を表示装置に表示させる表示ステップと,を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項4】
筐体外部の形状Dを有することを特徴とする体重計。
(次ページに続く)
【請求項5】
筐体内部の構造Eを有することを特徴とする体重計。


(1) 実用新案登録請求の範囲に請求項1の内容を含む実用新案登録出願を行った場合,実用新案登録の基礎的要件を満たさないと判断される。

私の回答:問題なし。実用新案の請求項としてシステムは認められない。

正解:問題点あり。

実用新案の請求項としてシステムは認められる。


(2) 実用新案登録請求の範囲に請求項2の内容を含む実用新案登録出願を行った場合及び実用新案登録請求の範囲に請求項3の内容を含む実用新案登録出願を行った場合のいずれであっても,実用新案登録の基礎的要件を満たさないと判断される。

私の回答:問題なし。実用新案の請求項として方法もプログラムも認められない。

正解:問題点なし。

実用新案は方法や化学物質、プログラムについては権利対象にならない。


(3) 実用新案登録請求の範囲に請求項4及び請求項5の内容をそれぞれ別の請求項で含む実用新案登録出願を行った場合,実用新案登録の基礎的要件を満たさないと判断される。

私の回答:問題点あり。請求項4も5も基礎的要件を満たす。

正解:問題点あり。

<問4>
X社は,データ管理システムAの製造販売を2022年5月に開始した後,発明の新規性喪失の例外適用を受けてデータ管理システムAに関する特許出願Pを2023年2月に行った。その後,甲は,特許出願Pに対応する外国出願を検討している。当該外国出願に関する甲の考え(1)~(3)について,(イ)内在する課題(問題点)があるかないか,(ロ)その理由を検討しなさい。

(1) 特許出願Pに基づくパリ条約による優先権を主張して,特許協力条約(PCT)に基づく国際出願(PCT出願)を行う場合,当該PCT出願と同時のみならず,その後にPCT出願において新規性喪失の例外に関する申立てを行うことができる。

私の回答:問題あり。優先権を主張したPCT出願時には出願と同時に新規性喪失の例外に関する申立てを行う必要がある。

正解:問題点なし。

PCT出願を国内移行した案件については、国内処理基準時の属する日後 30 日以内に、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする旨を記載した書面及び「証明する書面」を提出することが必要(特許法 184 条の 14)

通常の日本での出願では、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるためには、

  • (1)出願と同時に、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとするを記載した書面を提出し、
  • (2)出願から30日以内に、発明の新規性喪失の例外規定の適用の要件を満たすことを証明する書面を提出する、

必要がある。

ということなので通常出願とPCT国内移行は異なるようです。


(2) 特許出願Pに基づくパリ条約による優先権を主張して,特許協力条約(PCT)に基づく国際出願(PCT出願)を行う場合,当該PCT出願の国際調査では,特許出願Pの出願日を基準日として,データ管理システムAに関連する先行技術が調査される。当該先行技術は,世界のいずれかの場所において,当該基準日前に,書面による開示によって公衆が利用可能となったすべてのものを意味し,インターネット又はオンライン・データベースで開示された情報も,先行技術に含まれる

私の回答:問題点なし。

正解:問題点あり。

明言している資料は見つけられなかったが、以下の資料的に、特許出願Pの出願日を基準日とすのではなく、PCT出願日を基準とする。

1.国際調査を行う国際調査機関は、その設備が許容する限り多くの関連のある先行技術を発見するように努めるものとし、いかなる場合にも、規則34に定められる資料(最小限資料)を調査する。(条約15条(4)、規則34)

1.国際調査は、関連のある先行技術の発見を目的とする。関連のある先行技術とは、世界のいずれかの場所において書面による開示(図面その他の図解を含む。)によって公衆が利用することができるようにされており、かつ、請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの及び進歩性を有するもの(自明のものではないもの)と認められるかどうかを決定するにあたって役立ち得る全てのものをいう。関連のある情報が公衆に利用できるようにされた地理的な場所、言語または方法について、制限が全くないことに留意すべきである。さらに、当該情報を含む文献について、年代的な制限も規定されない。
(条約15条(2)、規則33.1(a))

6.国際調査報告の一つ以上の引用文献が、最先の優先日より後に公開されている場合、その最先の優先日の有効性について調査する必要がある。
(規則43の2.1(b)、64.1)

10.書面による開示以外の開示に言及する関連文書が国際調査報告において引用され、かつ、その文書が国際出願の基準日又はその後に公表された場合、または、国際出願の基準日前に出願され又は基準日前の優先日を有する出願又は特許で、その基準日以降に公表された場合は、審査官はそれらについて見解書に記載する。

B.優先日の決定
1.原則として、審査官は優先権主張の有効性に関する調査をしない。しかしながら優先権の主張は、請求項に係る発明の新規性及び進歩性の決定に関連する対象が公表されたのが、主張されている優先日又はその後であって国際出願日前である場合、
又は、規則64.2にいう書面による開示以外の開示、又は規則64.3にいう出願若しくは特許(ある種の公表された文書)のいずれかの内容の一部を構成している場合、重要である。


(3) 特許出願Pに基づくパリ条約による優先権を主張して中国特許庁(国家知識産権局)及び欧州特許庁に特許出願を行う場合,中国及び欧州のいずれでも有効な権利を取得できる可能性がある。

私の回答:問題点あり。欧州特許庁の管轄の欧州だけでしか有効な権利を取得できない。

正解:問題点あり。

問5
X社は,体重計Bに関する実用新案登録出願を2022年4月に行ったところ,2022年10月に実用新案登録Qを受けた。その後,甲は,競合メーカーのY社が販売する体重計H及び体重計Iが,X社の体重計Bと同じ特徴を有しているとの情報を得た。甲が確認及び検討したところ,体重計Hは,均等の法理の適用により実用新案登録Qに係る登録実用新案の技術的範囲に属する一方,体重計Iは,実用新案登録Qに係る明細書に対応する内容の記載があるものの,実用新案登録Qに係る登録実用新案の技術的範囲には属さないとの結論に至った。甲は,体重計Hについての権利行使を検討している。今後の対応(実用新案技術評価の請求を含む。)に関する甲の考え(1)~(3)について,(イ)内在する課題(問題点)があるかないか,(ロ)その理由を検討しなさい。


(1) Y社の体重計Iは,実用新案登録Qに係る明細書に対応する内容の記載があるものの,実用新案登録Qに係る登録実用新案の技術的範囲に属さない。そのため,体重計Iについては,実用新案登録Qに関連して,X社がY社に権利行使することができる可能性はない。

私の回答:問題あり。例えば、実用新案を特許に変更して、それを分割して体重計Iが属するような特許の請求範囲にすれば、権利行使できる可能性がある。←たぶん正解。

正解:問題点あり。

実用新案の分割は、実用新案登録出願の日から1か月以内(実用新案法第2条の2第1項)又は願書に添付した実用新案登録請求の範囲、明細書又は図面について特許庁長官から手続補正指令が発せられた場合(指定された期間内、実用新案法第6条の2)。

実用新案登録出願人は、その実用新案登録出願を特許出願に変更することができる。ただし、その実用新案登録出願の日から三年を経過した後は、この限りでない。

*補足:意匠登録出願人は、その意匠登録出願を特許出願に変更することができる。ただし、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月を経過した後又はその意匠登録出願の日から三年を経過した後(その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内の期間を除く。)は、この限りでない。


(2) Y社の体重計Hが,実用新案登録Qに係る登録実用新案の技術的範囲に属するか否かについて判定を請求することが可能であり,その際,均等の法理の適用についての判断を求めることが可能である。

私の回答:問題あり。技術的範囲に属するか否かについて判定は請求できるが、均等の法理の適用についての判断を求めることはできない。←間違い。

正解:問題点なし。

判定制度は均等の法理の適用についての判断を求めることが可能。


(3) 最初の実用新案技術評価書の謄本送達日から2カ月が経過すると,その後は実用新案登録請求の範囲の訂正ができなくなる。そのため,実用新案技術評価を請求するタイミングは慎重に検討する必要がある。

私の回答:問題なし。←正直、実用新案を会社で使うことが無さすぎて分からない。

正解:問題点なし。

最初の実用新案技術評価書の謄本送達日から2カ月が経過すると,その後は実用新案登録請求の範囲の訂正ができなくなる。

〇×の正解数:7/15。 合格基準は6割のところ、私の正答率は5割弱でした。テキトーに選択するのと変わりませんね。

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